毎日肥満解消の依頼を受け、ダイエットのお手伝いをしていますが、そもそも「肥満」とはどんな状態を言うのでしょうか?
Point1 肥満とはカラダの脂肪が多すぎる状態のこと
肥満というのはふつう、からだが太っているという意味だけど、医学的に「肥満」という言葉を使うときには、脂肪が一定以上に多くなった状態のことをいうのです。
人のからだはさまざまな物質でできていますが、おおまかには、水分と、筋肉に多い糖質とたんぱく質、骨に多いミネラル、脂肪でできているといえるんですね。肥満というのは、このなかの脂肪の割合が多すぎることなのです。
だから、体重が重くても、プロレスラーやハンマー投げの選手など筋肉や骨の割合が多い人は脂肪は少ないから、肥満ではないのです。
Point2 肥満はふつうBMIで判定される
現在、肥満の判定は、身長と体重から計算されるBMIという数値で行われています。これはBody Mass Index(肥満指数)の略で、BMIはつぎの計算式で計算できます。
日本肥満学会が決めた判定基準では、統計的にもっとも病気にかかりにくいBMI22を標準とし、25以上を肥満として、肥満度を4つの段階に分けています。
Point3 内蔵脂肪の量は、腹囲でだいたい分かる
からだの脂肪の量のうち、内臓にたまる脂肪がもっとも問題だといわれているんだ。この内臓脂肪は、腹囲(へその高さで測るウエスト周囲径)と比例するため、腹囲を測定することで内蔵脂肪型肥満かどうかの判定が行われるようになってきました。
男性85cm以上、女性90cm以上だと
内臓脂肪型肥満 と判定されます。
実は40歳以上の人が受ける特定健診などの健診では、この腹囲が基準値を超えているかどうかをとても重要視しています。
その理由は、内臓脂肪が多くなると、内臓脂肪から出ているアディポサイトカインというホルモンのような物質のうち、高血圧や脂質異常症、糖尿病、動脈硬化などになりやすくなる物質が多く分泌されるようになるからです。
■関連Q&A
Q1. 太っていると、それだけで病気なの?
A1.
肥満自体を病気とは言えませんが、
体重調整法【サンサンシステム】 を実証された、片岡邦三先生(医学博士・元慶應義塾大学内科専任講師)は次のように仰っています。
「肥満は、単に美容上の問題ばかりでなく、糖尿病・高血圧症・心臓疾患・動脈硬化症などの、生活習慣病の温床です。
肥満を解決するためには、なんと言っても最初に思いきった減食をするのが肝心で、始めにはずみをつけると、後の減量も順調にいくようです。
まず体重に関心を持ち、何キログラムやせるか目標を立てることです」
また近年は、精神的な病変の一部に、肥満との関わりがあるとの報告もされていますから、ダイエットをするに越したことはありません。
Q2. 太りやすい体質って、あるの?
A2.
あります。同じ内容の食事を摂っても、太る人と太らない人がいます。同じ体格でもよく動く人は当然使うエネルギー量が多いから、太りにくいってことはわかりますね。
それ以外の場合で、よく食べるのに太らない人には、二つの体質が考えられます。一つはせっかく食べたものを十分に消化吸収できない体質ということ。もう一つは基礎代謝量が大きいタイプです。
基礎代謝というのは、命を保つために最低限必要なエネルギーのこと。何もしないで横になっていても、呼吸したり、血液を循環させたり、体温を一定に保ったり、内臓を動かしたりするために使われるエネルギーですね。
基礎代謝量は、年齢や性別による差や、個人差があります。基礎代謝量が大きい人は、食べたものをためこまずにエネルギーにして使っていくので、よく食べる割には太らない。車なら燃費が悪いと言われますが、人の場合は太りにくいということになります。
Q3. 肥満も遺伝しますか?
A3.
遺伝が原因の肥満は、ごく少数です。「うちは両親もばあちゃんも太っているから、遺伝だよ」という人がいますね。たしかに、一家そろって肥満の家族も見かけます。
上のQ2.にあった「太りやすい体質」が遺伝すれば、みんな太りやすくなるということは考えられますが、みんなそろって太っているからといって、遺伝だけが原因とはいえません。
…というのも、家族が一緒に暮らしていれば、食べる量や食事の好み、食べ方などの食習慣はもちろん、運動ぎらいなど、ほかの生活習慣も似てくるのは当たり前だからです。つまり、遺伝が原因の肥満はごくわずか。重要なのは遺伝よりも生活習慣だといえそうですね。
その他、ダイエットに関してはこちらの記事も参考にしてください。
参照:厚生労働省HP「生活習慣病を知ろう!」
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/seikatu/