2014.07.23漢方知識
【季節の四方山話】 ~ 紫 蘇(シソ) ~
紫蘇という名前の由来
後漢末、洛陽の若者が蟹の食べすぎで食中毒を起こした。
若者は死にかけていたが、名医・華佗が紫の薬草を煎じ、薬を作った。
それを用いたところ、若者はたちまち健康を取り戻した。
『 紫の蘇る薬だ 』というので、この薬草を「紫蘇」というようになった。
漢方薬の紫蘇
漢方古典「金匱要略」にも書いてあります。
「食蟹中毒治之方:
紫蘇を煮出し、三升を飲む。紫蘇子を潰して、汁を服することも良い。」
紫蘇は、赤いアントシアン系色素(シソニン)の有無によって、赤(紫)蘇葉系と青蘇葉系に分けられますが、カロチンが赤(紫)蘇葉には少ないですが、青蘇葉と赤(紫)蘇葉の成分は似ています。
栄養価が高いのは青蘇葉、薬効があるのは逆に赤(紫)蘇葉の方です。
漢方用生薬としては赤(紫)蘇葉(葉っぱ)と紫蘇子(種)が使われています。
紫蘇は発汗促進、利尿、鎮静、鎮痛、鎮咳作用があります。
芳香性健胃剤、去痰剤、止血剤として用いられます。
さらに、血液循環促進作用があることから、眩暈(めまい)や吐気を抑えたり、ひいては脳疾患を治す健脳作用も期待されます。
香蘇散・半夏厚朴湯・参蘇飲・神秘湯などに使われています。
食べ物の紫蘇
日本人になじみ深い紫蘇は、刺身の盛り付けに使う緑の葉です。それは青紫蘇(アオジソ)または大葉(おおば)というものです。
それは単なる飾りではなく、海鮮類の毒を中和させます。
紫蘇の成分は、ペリルアルデヒドやリモネン、ピネンなどで香りをはなちます。
精油成分の半分以上を占めるペリルアルデヒドはシソアルデヒドとも呼ばれ、強い抗菌作用・防腐効果があります。
刺身のつまや料理のあしらい、薬味に欠かせないのはこのためです。
食中毒を予防するほか、消化酵素の分泌促進、食欲増進、健胃作用もあります。
現代研究により、シソはインフルエンザ菌、ブドウ球菌などの発育を阻止する作用がありますので、食事のときに紫蘇も残さないでね!
紫蘇の栄養価値
ビタミン類、ミネラル類を多く含み、香り成分との相乗効果で、古くから薬用として広く用いられてきました。
β-カロチンが大量に含まれるほか、ビタミンB群のうちB1、B2、B6、ビタミンC、E、Kも多く、ナイアシンも含みます。
カルシウム、鉄、カリウム、マグネシウム、亜鉛なども含有。人体に必要な成分がほとんど含まれていると言っても過言ではないでしょう。
色々な分野に期待されている紫蘇
★アレルギー抑制効果の期待
紫蘇には、体内でEPAに変化するα-リノレン酸が含まれています。EPAには免疫を正常にするはたらきがあり、アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー症状を緩和してくれる効果があるそうです。
★ガン抑制の期待
紫蘇にはビタミンCも豊富で、ガン予防作用があります。
青紫蘇にはβカロチンが豊富に含まれ、その量は野菜の中でもトップクラスで、にんじんとほぼ同程度、かぼちゃの10倍以上もあります。βカロチンは体内でビタミンAに変わり、視覚、聴覚、粘膜や皮膚を保護し、抵抗力を強くするはたらきがあります。抗酸化作用もあり癌予防や老化予防に効果の高い栄養成分です。
★貧血予防の期待
紫蘇は鉄分が多く、また鉄の吸収を助けるビタミンCも多く含むことから、鉄欠乏性貧血予防に有効です。鉄剤、レバーが苦手の方は紫蘇を食べましょう!
★ダイエット効果の期待
紫蘇はカロリーが低い上に栄養価が高いので、サラダなどのダイエット食には最適です。また、カリウムを多く含み、利尿・発汗を促して、水分代謝を良くするはたらきがあるので、水太り解消に効果が期待できます。
(東洋学術出版社「中医臨床のための中薬学」により一部抜粋)
富士堂漢方薬局 飯田橋店 張 冬
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