早いものでもう12月ですね。

富士堂では今年も、来年度のカレンダーを患者様にお配りしています。

去年に引き続き、日本の山野草がテーマとなっていて、なかには生薬として使われている山野草も掲載されています。

今年の表紙は赤色が鮮やかな「ハマボウフウ」です。



ハマボウフウは海岸に生えるセリ科の多年草です。

残念なことに、砂浜の減少や乱獲などにより最近では自生地がひどく減少しているそうですが、栽培品は市場に流通し、茎や葉はお刺身のツマや天ぷらとして食されています。カレンダーの写真の赤色のものは若い花序で、この後開いて白い花を咲かせるそうです。

防風（ボウフウ）

「防風（ボウフウ）」という生薬がありますが、こちらはハマボウフウとは別の植物である「ボウフウ」の根です。

「防風」は発散表邪（体の表面にある邪気を取る）、勝湿止痛（体内の湿気をとり止痛する）などの作用があるとされ、防風通聖散や十味敗毒湯など様々な処方に使われています。



ボウフウ(四季の山野草http://www.ootk.net/shiki/より)



防風（生薬）

「北沙参」

いっぽうハマボウフウの根は「北沙参」という生薬として使われています。

その作用は清肺養陰、益胃生津（肺の熱をさまし、胃や肺を潤す）とされています。

だいぶ異なる作用の両者ですが、昔日本では防風の入手が難しく、代用品として北沙参が使われていたこともあったそうです。

お屠蘇

お正月に飲まれるお屠蘇ですが、その構成生薬は地域などによって違いはあるものの、防風もしくは北沙参が材料の一つとなることが多いようです。どちらかが使われているというのも、昔代用されていた名残なのかもしれません。

カレンダーにはその他、水仙やヤマノイモなど季節の植物の写真が掲載されております。

店頭に見本がございますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

富士堂漢方薬局 　渋谷店