2018.09.25婦人科(月経・おりもの・更年期)
無月経の分類と漢方
1.無月経には原発性と続発性の無月経がある
原発性無月経の原因は、性機能の本質的欠陥をもつ性腺・性管系の先天異常に基づくものが8割を占めています。性管分化の異常、染色体異常、内分泌異常などであります。
続発性無月経は、生理的無月経を除いて、月経が3ヶ月以上停止した場合をいいます。子宮、卵巣、下垂体、視床下部などいろいろの部位の障害によるので、その鑑別診断が重要である。続発性無月経の原因は排卵障害性の不妊症の原因ともいえます。
2.重要な続発性無月経分類と漢方
A.視床下部性無月経
視床下部は命令系統のスタート地点ですね。 向精神薬などの副作用で無月経となる場合は、薬剤性の視床下部性無月経であることが多いですね。 ストレスなどによる心因性の無月経や摂食障害や急激な体重減少性無月経もここに含まれます。 原因がはっきりしない場合の無月経は視床下部性無月経であることが多いです。
良く使われる処方:加味逍遥散、香蘇散、芎帰調血飲第一加減など
B.下垂体性無月経
下垂体からLHやFSHという卵巣刺激ホルモンが分泌されています。
下垂体腫瘍による高プロラクチン血症は、下垂体性無月経の一つタイプです。
下垂体の虚血状態による下垂体機能が低下するのは、下垂体性無月経のもう一つタイプです。分娩中や産後に輸血が必要となるくらいの大出血があると脳下垂体の血流が悪くなるのは原因です。Sheehan症候群(シーハン症候群)とよばれます。
良く使われる処方:加味逍遥散、参茸補血丸、冠元顆粒など
C.卵巣性無月経
卵巣に原因があり無排卵、無月経となる頻度は少ないです。 原発性無月経の原因であるTurner症候群も卵巣性無月経といえます。 その他、外科的な治療(卵巣腫瘍など)、抗ガン剤による治療などのあとに発生する無月経もあります。
良く使われる処方:六味丸、八味丸、鹿茸大補丸、参茸補血丸など
D.多嚢胞性卵巣症候群
卵巣に卵胞が発育するのですが、排卵障害、無月経となる病気です。不妊症の重要な原因にもなっていますね。
良く使われる処方:桂枝茯苓丸、芎帰調血飲第一加減など
F.子宮性無月経
子宮内の何らかの炎症により(流産手術や不潔な性交など)子宮内が癒着してしまう状態に子宮性無月経となります。 Asherman症候群(アッシャーマン症候群)や子宮内膜炎などです。
良く使われる処方:大黄牡丹皮湯、桂枝茯苓丸、桃核承気湯など
(富士堂漢方薬局 飯田橋本店 張 冬)
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