2018.09.25病状別漢方治療
肥満の漢方解説
【防風通聖散】
体力が充実した人の肥満、便秘を目標に用いる、腹部は、臍を中心に膨満かつ充実している。一般に、肥満、便秘に伴う高血圧症、脂質代謝異常症、循環器系疾患、脳血管障害、痔核、湿疹などを伴う。
【五積散】
体質的には肝と脾の虚弱なものが、寒と湿とに損傷されて起こる諸病に用いる。顔色はやや貧血気味で、上半身に熱感があって下半身が冷え、腰・股・下腹等が冷え痛み、脈は一般に沈んでいて、腹は多くは軟らかいが、ときに心下部の硬くはっているものもある。
【大柴胡湯】
防風通聖散と同じような体型に用いるが、違うところは、心下部から季肋部にかけて強い抵抗をみとめ、同部を圧迫すると非常に苦しがる。同部に圧痛を認める場合もある。
【五苓散合九味檳椰湯】
肥満して身体が重く、疲れやすく、身体が腫れやすいというタイプに応用する。本処方は脚気の治療に頻用され、とくに肥満をみとめなくても、身体が腫れぼったい、動悸や息切れがする、筋痙攣をよくきたす、身体がこわばる、などの自覚症状とともに、第2肺動脈音の亢進、腓腹筋の握痛、膝蓋腱反射の低下または消失などいわゆる脚気症状をみとめるときは著効を奏す。
【防已黄耆湯】
女性によくみられる肥満症で、皮膚がたるんだいわゆる「水ぶとり」タイプの肥満症に適応する。表虚証があり、汗が多くて皮膚が常に湿っているのが特徴的である。身体が重く動くのを嫌がる。
【血府逐瘀湯】
四逆散+桃紅四物湯+桔梗、牛膝
柴胡体質で瘀血証。頭痛、頭重、肩こり、のぼせ、動悸等の症状がでることがある。
【桂枝茯苓丸】
体力中程度で、のぼせ傾向がある人の、いわゆる瘀血を目標に用いる。腹部は、腹力中程度で、多くの場合、小腹硬満を認め、まれに腫瘤を触知することがある。一般に、頭痛、肩こり、めまい、のぼせ、下腹部痛、下肢の冷汗、月経異常、性器出血を伴う。
【大承気湯】・【調胃承気湯】・【小承気湯】
厚朴、枳実、大黄、芒硝/大黄、甘草、芒硝/厚朴、枳実、大黄
腹部がかたくつかえ、便秘するもの、あるいは肥満体質で便秘するもの
【通導散】
当帰、大黄、枳実、厚朴、陳皮、木通、紅花、甘草、蘇木、硫酸Na
比較的体力があり、下腹部に圧痛があって便秘しがちなもの
参考文献
長谷川弥人、大塚恭男、丁 宋鐵:臨床医の漢方治療指針 メジカルビュー社,1999年.
漢方業務指針 改定4版: 日本薬剤師会 編 じほう、2005年
長谷川弥人、大塚恭男、山田光胤、菊谷豊彦:漢方製剤 活用の手引き (株)臨床情報センター 1998
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