2018.09.26病状別漢方治療
六経病期から花粉症/アレルギー性鼻炎の漢方薬治療を論ずる
鼻アレルギーは季節性アレルギー性鼻炎いわゆる花粉症と通年性アレルギー性鼻炎を含みます。アレルギー性鼻炎は過去10年間で有病率が10%も上昇しており、その中でも花粉症、特にスギ花粉症が中心となって 増加している。花粉症は間もなく人口の約半分までに有病率が達することから、国民にとって最もポピュラーな疾患で あり、言い換えれば“国民病”ともいえる。
中医学の経典とされる「傷寒論」には、病期による分類も行われ、病期は「陽」から「陰」の症状へ進み、悪化するとされています。陽の症状と陰の症状は、それぞれ更に細かく、3つの陽期と3つの陰期に分けられ、合せて6つの段階に分類できます。これを六経分類といいます。大ざっぱにいえば病気は徐々に陽証から陰証へ、表証から裏証へ、熱証から寒証へ、実証から虚証へ進むとされていますが、もちろん、この限りではありません。これらの六経病は太陽病、少陽病、陽明病、太陰病、少陰病、厥陰病を含めます。
花粉症は花粉に対する鼻や目や咽頭などの粘膜アレルギー反応です。花粉が同じであっても、体質や個々の生体反応により病状も違います。その個々病状を六経病からみてみると、ぴったりとした治療法で見つけることができますし、しかもよく効きます。
以下は簡単にまとめます。
A.鼻づまりがひどい、特に夜間鼻が詰まっていて眠れない、風寒をかかる場合には鼻づまりがひどくなるタイプ:生薬麻黄、桂皮、杏仁、甘草からなる麻黄湯で治療するが有効。
B.鼻づまり、鼻水、くしゃみの以外に、頭痛、肩こりがひどく、風寒をかかる場合には鼻づまりがひどくなるタイプ:生薬麻黄、桂枝、葛根、芍薬、生姜、甘草、大棗、川芎、辛夷からなる葛根湯加センキュウ辛夷で治療することがよい。
C.鼻づまり、鼻水やくしゃみなどがそれほどひどくなく、汗が出やすい、逆上せが出やすいタイプ:生薬桂枝、芍薬、生姜、甘草、大棗、川芎、辛夷(桂枝湯加センキュウ辛夷)、桂枝加竜骨牡蠣湯、苓桂五味甘草湯などで治療したほうがよい。一人の72歳患者さんに3か月ぐらい桂枝加竜骨牡蠣湯を飲ませたら、あれから花粉症が全然出なくなったことを経験しました。
鼻アレルギーが慢性化して通年性アレルギー性鼻炎や花粉症、気温変化に敏感して症状が出る方には、小柴胡湯、四逆散、柴苓湯が有効の場合があります。
蓄膿症や鼻炎など合併しやすく、慢性化している方には荊芥連翹湯を併用するときもよいでしょう。
単純な陽明病期の花粉症が少ないが、発熱や口渇や喉の痛みや痒みがひどい方には、陽明病合併することと考えられます。そうすれば石膏や桔梗や知母を加えて治療したり、辛夷清肺湯で治療することもあります。
A.胃腸が弱く、冷えやすい、心窩部やお腹にゴロゴロにして、下痢しやすいを伴う鼻づまり、鼻水、咳などの場合には、苓姜朮甘湯、苓甘姜味辛夏仁湯などが適合です。
B.太陰・太陽の合病にあたる花粉症
たくさんの方はこのタイプだと思います。鼻水、くしゃみ、鼻づまりの3大症状、また頭がぼっーとする、心窩部に水がたまっていることなどがあります。半夏・麻黄・桂皮・乾姜・甘草・五味子・細辛・芍薬からなる小青竜湯で治療することが有効です。
C.太陰・太陽・陽明の合病にあたる花粉症
Bのタイプに鼻や目の痒みが強く、口の乾き、煩熱も出現する場合には、小青竜湯に石膏・杏仁・桔梗を加えて治療するとよいです。
体のだるさがあり、体力のない、冷えると体がいたくなる方にアレルギー性鼻炎・花粉症の場合には、麻黄附子細辛湯、或は小青竜湯と一緒に治療しましょう。
体調が悪く、四肢冷え、煩躁口渇またアレルギーのある方は、茯苓四逆湯などで治療したほうがよいでしょう。
以上となりますが、あくまで私独特な経験です。実際治療する際に、六経学説からるために詳しく相談しなければなりません。経験がない場合には判別が難しいため、安易に自己判断しないでください。
中医学の経典とされる「傷寒論」には、病期による分類も行われ、病期は「陽」から「陰」の症状へ進み、悪化するとされています。陽の症状と陰の症状は、それぞれ更に細かく、3つの陽期と3つの陰期に分けられ、合せて6つの段階に分類できます。これを六経分類といいます。大ざっぱにいえば病気は徐々に陽証から陰証へ、表証から裏証へ、熱証から寒証へ、実証から虚証へ進むとされていますが、もちろん、この限りではありません。これらの六経病は太陽病、少陽病、陽明病、太陰病、少陰病、厥陰病を含めます。
花粉症は花粉に対する鼻や目や咽頭などの粘膜アレルギー反応です。花粉が同じであっても、体質や個々の生体反応により病状も違います。その個々病状を六経病からみてみると、ぴったりとした治療法で見つけることができますし、しかもよく効きます。
以下は簡単にまとめます。
1、太陽病期にあたる花粉症の症状と漢方薬
A.鼻づまりがひどい、特に夜間鼻が詰まっていて眠れない、風寒をかかる場合には鼻づまりがひどくなるタイプ:生薬麻黄、桂皮、杏仁、甘草からなる麻黄湯で治療するが有効。
B.鼻づまり、鼻水、くしゃみの以外に、頭痛、肩こりがひどく、風寒をかかる場合には鼻づまりがひどくなるタイプ:生薬麻黄、桂枝、葛根、芍薬、生姜、甘草、大棗、川芎、辛夷からなる葛根湯加センキュウ辛夷で治療することがよい。
C.鼻づまり、鼻水やくしゃみなどがそれほどひどくなく、汗が出やすい、逆上せが出やすいタイプ:生薬桂枝、芍薬、生姜、甘草、大棗、川芎、辛夷(桂枝湯加センキュウ辛夷)、桂枝加竜骨牡蠣湯、苓桂五味甘草湯などで治療したほうがよい。一人の72歳患者さんに3か月ぐらい桂枝加竜骨牡蠣湯を飲ませたら、あれから花粉症が全然出なくなったことを経験しました。
2、少陽病期にあたる花粉症の症状と漢方薬
鼻アレルギーが慢性化して通年性アレルギー性鼻炎や花粉症、気温変化に敏感して症状が出る方には、小柴胡湯、四逆散、柴苓湯が有効の場合があります。
蓄膿症や鼻炎など合併しやすく、慢性化している方には荊芥連翹湯を併用するときもよいでしょう。
3、陽明病も合併する花粉症の症状と漢方薬
単純な陽明病期の花粉症が少ないが、発熱や口渇や喉の痛みや痒みがひどい方には、陽明病合併することと考えられます。そうすれば石膏や桔梗や知母を加えて治療したり、辛夷清肺湯で治療することもあります。
4、太陰病に当たる花粉症の症状と漢方薬
A.胃腸が弱く、冷えやすい、心窩部やお腹にゴロゴロにして、下痢しやすいを伴う鼻づまり、鼻水、咳などの場合には、苓姜朮甘湯、苓甘姜味辛夏仁湯などが適合です。
B.太陰・太陽の合病にあたる花粉症
たくさんの方はこのタイプだと思います。鼻水、くしゃみ、鼻づまりの3大症状、また頭がぼっーとする、心窩部に水がたまっていることなどがあります。半夏・麻黄・桂皮・乾姜・甘草・五味子・細辛・芍薬からなる小青竜湯で治療することが有効です。
C.太陰・太陽・陽明の合病にあたる花粉症
Bのタイプに鼻や目の痒みが強く、口の乾き、煩熱も出現する場合には、小青竜湯に石膏・杏仁・桔梗を加えて治療するとよいです。
5、少陰病期にある花粉症の症状と漢方薬
体のだるさがあり、体力のない、冷えると体がいたくなる方にアレルギー性鼻炎・花粉症の場合には、麻黄附子細辛湯、或は小青竜湯と一緒に治療しましょう。
6、厥陰病期にある花粉症の症状と漢方薬
体調が悪く、四肢冷え、煩躁口渇またアレルギーのある方は、茯苓四逆湯などで治療したほうがよいでしょう。
以上となりますが、あくまで私独特な経験です。実際治療する際に、六経学説からるために詳しく相談しなければなりません。経験がない場合には判別が難しいため、安易に自己判断しないでください。
富士堂東洋医学研究所所長 医学博士 許志泉
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