人類の保健、疾患治療、リハビリ、健康増進などについて、現代医学の貢献が多大であることは十分に証明されています。　特に感染症の予防や治療、外科手術などにおいてすばらしい発展を遂げています。
しかし、文明の発達による心の交流不足、生活習慣による慢性疾患、ストレスに関係する心身疾患や精神疾患、体質に関連する多様な不調、健康維持や増進するなどの問題の解決には、漢方医学の智慧が富んでいることが知られております。

古人の智慧を現代に生かす

2014/10/9（木）にNHK地球イチバン『地球最後の航海民族～ミクロネシア・中央カロリン諸島～』：「およそ3000年前に、人類が太平洋の島々へと渡った秘密を解き明かす伝説の民に密着。頼りになるのは、波、星、風や鳥の飛び姿といった自然を読む技だけ。地球上でここにしか残っていないとされる航海術を武器に、エンジンも羅針盤もない木造のカヌーで、彼らは数百キロもの航海をする。台風で被災した隣の島へ食糧を届けるため、嵐の中大海原へと繰り出した男たちの物語。（番組HPより）」という放送がありました。
中国に誕生して発展してきた中医学にも、何千年前から延々と人間と自然、健康と病苦などに関して、陰陽、虚実、寒熱、や気・血・水・脂などで総合的に観察、実践してきた数々の智慧があり、現代社会でも珍重されていると感じております。たとえば体質からのアプローチ、個人の生体反応を見極め方及び治療のノウハウ、心身のバランスがとれる生活や心持ち方の教えなどに基き、沢山の病気の方を治療し元気にすることを私も経験しておりますし、また医学界でも証明されております。
現代では、治療の羅針盤となるCT、MRIもありますが、患者の細かい症状、サインや生活からでも迷いなく治療できることもより大事かもしれません。
現代こそ、伝統医学を大事にしなければならない時代だと思います。
ぜひ、みなさんも、健康に役立つのは西洋医学だけではなく、古来の智慧、漢方医学、中医学、またその中の鍼灸や推拿などの治療も十分に元気の源となれることを忘れないでほしいです。また体験していただきたく存じます。
古人の智慧を現代に生かす。これは伝統と未来のつながりとなるでしょう。

富士堂東洋医学研究所所長　許志泉